許嫁の娘 弐歳年上の許嫁の娘、御夏は遠慮と言う気が無いのか、未だ結婚もして居無いのに、嫁に成った積もりか、何時も男の家に勝手に上がる込んでは遣りたい放題の事をして居ったそうな。其の厚かましい事と言ったら、男も呆れ返って居った。遠い親戚でも有り、子供の頃から姉弟の関係の様に、遊んで居たせいか遠慮と言う事が無く、自分の家の様に思って居った。男の前で鼻は咬むは、屁を放くは、便所の扉もきっちり閉めた例が無かった。何ぼ叱られても叱られても一向に応え無いらしい。 男が風呂に入って居ると。 「わても入ろと」 「恥ずかしがらぬとも良いではないか、子供の頃から一緒に入って居るではないか」 女は逆上せてしまい暫くの間、大きめの西洋手拭を腰に巻き付けた丈で座敷で涼んで居ったら、遣って来た父に見つかってしもうて。 「こら、女子が何と言う格好をして居る」又、叱られてしもうた。 娘は叱られて、帰りたく無いと駄々を捏ね。 「弐人は蚊帳の中で天井を眺め乍」「困った事に成ったのう、姉弟見たいに暮らし来たので、突然には恥かしくて睦言等出来んのう」娘は困ってしもうた。 「わてらは病気で有るので有ろうかのう、御乳や御尻を触られて大騒ぎをする女も居るが、わては何も感じ無いぞ」「ほれ、触ってみやれ」男の手を掴んで触らせた。 「今度、弐人で機会が有れば神社に詣でて見ようぞ」「ややがほしいものじゃのう」 「御腹が痛う成った、一寸摩って呉れぬか」「此処か」「もっと下」「此処か」「もっと下」 女は屁を放いて其の儘寝てしもうた。 そうこうして居る内に寒い冬が遣って来て。年末が遣って来てしもうたので有る。 年末は何処の家も忙しいので有る。大掃除もしなけれ成ら無いし、餅搗きもしなければ成ら無いし、其れに御正月の用意もしなければ成ら無い。働き者の御夏は男の家には無くては成ら無い女だが、未だ結婚もして居無い生娘で有った。 「なあ、餅搗きて何んか卑猥やね、あんたはそうは思わへん」 「寒い日におならをしたら湯気が出るのん知ってた」 「寒く成ると尿が近いこう成って困るのう、さっきお手水に行ったとこやのに、又しとなった」 御夏の話は下品な事ばかりで有った。 年が明けて、新年を祝い、二人は神社に初詣に出かけた。 「これ、もっと性根を入れて拝まねば、ややは授からんぞ」男は叱られてしもうた。 「お前さんのおっかさんももう耄碌されたのかのう、わてら弐人限にして間違いでも起きたら如何する積もりなんやろね」 初雪がシンシンと降って始めて居った。 「なー、麦酒が在んねんけど、飲んでみやへん」「昼間からか」「良えやんか、お正月やん」 「麦酒を飲むと尿が近こ成るて本真やね、尿がしと成ってしまうた。寒いしお手水に行くのが辛いのう」「其方の病気は何時に成ったら治るのじゃ、目の前に良い女が居っても、抱き締めたい、接吻をしてみたいと言う気には成らんのか」 「なあー、人に聞いた話やけど、わての尿を飲んでみやへんか、元気が出るかもしれへんで」 「儂は其んな、汚い事はせん」「怒ったんか、何処へ行く」「小便じゃ」 「わても小便に・・・」立ち上がろうとした時に御夏は其の場で尿垂れをしてしもうたので有る。 恥かしさの余り放心状態の御夏を男は弄んでしもうたので有る。陰部に接吻され又、尿垂れしてしまい犯されてしまっては、又尿垂れしてしもうたので有る。 「如何しゃった、病気は治ったんか」「尿垂れをした御仕置きじゃ」 「あんたのおっかさんに丈は内緒にしててや、わては恥かしい」 雪は何事も無かったかの様にシンシンと降り続いて居った。 男の母親が帰って来て、御夏の様子が可笑しいのに直ぐに気が付いて。 「一郎、此処へ来やれ、御夏に何を仕出来しおった、御夏は其方の許嫁成るぞ、其方の嫁御寮に成る大事な娘じゃ、御夏を苛めたら、わてが承知しないぞ」男は叱られてしもうた。 「そろそろ、御前達も祝言させねば成らないものぞと弐人で相談して居った所じゃ」 其の内、御夏の御腹が膨らんで来た、如何やらややが出来たらしい。一郎の母親と御夏の父親は慌てて弐人に祝言を挙げさせた。 弐歳年上の確り者の御夏と、おっとりして子供気の残る一郎の婚禮は憂鬱な梅雨時の雨の日に行われた前途多難では有った。 やがて、夏は玉の様な男の子を産み落とし、近くの神社に宮参りに詣でた。 夏は一郎の妻と成り、母親と成り、やがて所帯も任される様に成ったが、以前の子供みたいな御夏に直ぐに戻ってしもうた。 一郎は夏に四人もの子を産ませ、村の顔役に迄成ったが、生涯御夏の尻に敷かれっぱなしで有った。 夏と言う女は親が勝手に決めた結婚相手に一度も不服を言う事が無かったそうな、真に偉い女で有った 2005−06−13−41−OSAKA |
HOME −−戻る 〓 次へ++ |